大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成2年(特わ)3851号 判決

本店所在地

大阪市平野区平野西三丁目九番二一号

有限会社

大岡産業

(右代表者取締役 大岡昌俊)

本籍

大阪府寝屋川市成美町二八番

住居

同 寝屋川市大字高宮六五二番地の八四

会社役員

大岡昌俊

昭和七年五月二三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宮下準二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社大岡産業を罰金一八〇〇万円に、被告人大岡昌俊を懲役一年に処する。

被告人大岡昌俊に対し、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社大岡産業(以下、「被告会社」という。)は、大阪市平野区平野西三丁目二一号に本店を置き、家具製造販売等を業とするもの、被告人大岡昌俊(以下「被告人」という。)は、被告会社の取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、

第一  昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が五三二七万九八八九円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、売上の一部を除外するなどの方法により、その所得の全部を秘匿したうえ、同年六月二日(法定納期限の同年六月一日郵便により発送)、大阪市平野区平野西二丁目二番二号所在の所轄東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が六四万五四九五円で、これに対する法人税額が零円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二二〇八万五八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を全部免れた、

第二  昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が五九五〇万一九一〇円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年五月三一日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二三二万七六八四円で、これに対する法人税額が六九万七九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四〇三万二〇〇円と右申告税額との差額二三三三万二三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた、

第三  昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が八一八九万九七九〇円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年五月二九日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二四三万九五三〇円で、これに対する法人税額が七三万一七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三三四三万七五〇〇円と右申告税額との差額三二七〇万五八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注) 括弧内の算用数字は証拠等関係カードの検察官請求分の請求番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(71)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一六通(55ないし70)

一  大岡悟(三通、27ないし29)、野田美智子(三通、30ないし32)、遠藤小余子(三通、33ないし35)、浅野専太郎(36)、津風呂和子(37)、三木伸司(38)、西垣雅章(39)、轟良三(40)、寺西和男(41)、椴木弘幸(二通、42、43)、吉田且稔(三通、44ないし46)、下津浦洋(47)、井坂秀雄(48)、尾崎千代香(49)、尾崎直美(50)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書一八通(9ないし26)

一  被告会社代表者作成の証明書(52)

一  大阪法務局登記官作成の登記簿謄本(51)

一  検察事務官作成の電話聴取書(8)

判示第一の事実について

一  東住吉税務署長作成の証明書二通(4、5)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(1)

判示第二の事実について

一  東住吉税務署長作成の照明書(6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(2)

判示第三の事実について

一  東住吉税務署長作成の証明書(7)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(3)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金一八〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 仙波厚)

別紙(一) 修正貸借対照表

〈省略〉

別紙(二) 修正貸借対照表

〈省略〉

別紙(三) 修正貸借対照表

〈省略〉

別紙(四) 税額計算書

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例